真空環境での磁気シールの役割!真空用途に適した磁気シールとは?
用途にあった磁気シールを選ぼう!真空での磁気シールの役割を解説します。
磁気シールが必要だが、どの磁気シールを選んだら良いか分からない。そのような方向けに以下を解説します。
- 磁気シールはなぜ真空環境で必要なのか?
- 真空用途に適した磁気シールの選び方
- 磁気シールの真空環境での耐久性
必要に応じた磁気シールを選びましょう。
磁気シールはなぜ真空環境で必要なの?

磁気シールとは主に真空環境で使用されるシールです。ここでは真空環境とは何か、磁気シールの役割を解説します。
真空環境とは何か?
真空とは、空間内の気体分子の数が非常に少ない状態のことです。完全にゼロになることは現実には難しいため、一般的には「通常の大気圧よりも圧力が低い状態」を、真空と呼びます。
さまざまな用途に応じて、どの程度の真空状態を作る必要があるか、真空度が評価されます。
真空環境は、さまざまな分野で利用されています。例えば、食品の酸化防止のための真空パックや、電子部品の製造過程で空気中の酸素や水分との反応を防ぐため、近年私たちの生活にかかせないものとなっている半導体の製造過程などでも真空状態が必要です。その他にも、断熱効果を高めるための魔法瓶や、物質の蒸発を利用した蒸留など、真空は私たちの生活のさまざまな場面で活用されています。
磁気シールによる解決策
電子部品や半導体の製造装置において、真空環境を維持するためには、回転軸と固定部の隙間を完全に密閉する必要があります。しかし、この隙間を単純に密閉してしまうと、回転軸と固定部が接触し、摩擦による発塵や摩耗が発生してしまいます。
磁気シールは、この問題を解決する画期的な方法です。磁性流体という特殊な液体を磁力で保持することで、回転軸と固定部の間に非接触のシールを形成します。
磁性流体は液体であるため、摩擦や摩耗が起こらず、発塵も最小限に抑えられます。また、磁力の強さを調整することで、さまざまな圧力差に対応できるため、高真空環境でも高い性能を発揮できるでしょう。
このように、磁気シールは真空環境下での回転軸シールに最適なソリューションであり、高精度で信頼性の高い真空環境を実現するために不可欠な技術です。
真空用途に適した磁気シールの選び方

真空装置に用いる磁気シールを選ぶ際には、荷重条件、到達圧力や必要な真空度、回転速度やトルク、そして温度環境といった要素を考慮する必要があります。それぞれの要素に対応した適切な磁気シールを選択することで、装置の性能を最大限に引き出し、安定した動作を確保できます。
荷重条件への対応
磁気シールを選定する際には、荷重条件への対応能力が極めて重要な評価項目となります。設計段階では、想定されるラジアル荷重・アキシャル荷重・回転モーメントなどの外力に対し、ベアリングの寿命を適切に算出し、それに見合った磁気シールを選定する必要があります。
荷重が増加することで、ベアリングの動的寿命は低下します。特に回転モーメントは、ベアリングに偏荷重や過大な力を生じさせるため、寿命への影響が大きく、設計上の重要な考慮要素となります。
したがって、磁気シールの選定においては、これらの荷重要因とベアリング寿命の関係性を正確に把握し、求められる耐荷重性能を十分に満たす製品を選ぶことが、システム全体の信頼性と長期安定稼働を実現するための鍵となります。
真空度と到達圧力への対応
磁気シールを選ぶ上で、到達したい真空度と圧力への対応は重要な要素です。必要な真空度や圧力に応じて、適切な磁気シールを選択する必要があります。
磁気シールには、到達真空度や圧力に対する性能を示すデータがあります。これらのデータを確認することで、目的に合った磁気シールを選択できるでしょう。一般的に到達真空度が高いほど圧力は低くなり、排気速度も低くなります。反対に、到達真空度が低い場合は圧力が高くなり、排気速度も高くなります。磁気シールを選ぶ際には、これらの関係性を理解し、必要な真空度と圧力に対応できる製品を選ぶことが重要です。
回転速度とトルクへの対応
真空用途で磁気シールを選ぶ際には、回転速度とトルクへの対応も重要な要素となります。磁気シールは、高速回転するシャフトのシールに使用されるため、回転速度への耐久性が求められます。加えて、シャフトに伝達されるトルクにも耐えられることも必要です。
型番によって最高回転数、定格回転数、許容伝達トルク、起動トルクは大きく異なります。これらの数値は、使用する磁性流体の種類や、シャフトにかかる負荷によって変動します。
磁気シールを選定する際は、これらの数値を参考に、実際の使用環境における回転速度、トルクを考慮する必要があるでしょう。例えば、高速回転が必要な用途では、最高回転数の高い磁気シールを選ぶ必要があります。また、大きなトルクがかかる用途では、許容伝達トルクの高い磁気シールを選ぶことが必要です。さらに、起動トルクは回転開始時の最大負荷トルクを示しており、モータ選定の際には、記載値の3倍を目安に検討することが推奨されています。
このように、回転速度とトルクへの適切な対応は、磁気シールの選定において非常に重要です。
温度環境への対応
磁気シールは、使用環境の温度変化に対応できることが重要です。温度変化は、磁性流体の粘度や磁気特性に影響を与え、シール性能の低下につながる可能性があります。
磁気シールを選ぶ際には、使用温度範囲を確認しましょう。一般的に、磁性流体は高温になるほど粘度が低下し、低温になるほど粘度が上昇します。極端な温度環境では、磁性流体が凍結または蒸発し、シール機能が失われる可能性があります。
高温環境で使用する場合、磁性流体の蒸発を防ぐために、冷却機構を設ける、耐熱性の高い磁性流体を使用するなどの対策が必要です。低温環境で使用する場合、磁性流体の凍結を防ぐために、ヒーターで加温する、低温特性に優れた磁性流体を使用するなどの対策が必要です。
最適な磁気シールを選択するために、メーカーに相談し、具体的な使用環境における温度条件を伝えることが大切になります。
磁気シールの真空環境での耐久性
磁気シールは、適切な選定とメンテナンスを行うことで、長期にわたって安定した性能を発揮します。耐久性を左右する要素として、磁性流体の劣化、材質の選定、使用環境などが挙げられます。
磁性流体の劣化は、高温や腐食性ガスなどの影響で発生する可能性があるでしょう。一般的に、磁性流体の寿命は使用条件によって大きく変化します。例えば、高温環境では劣化が早まる傾向があります。
磁気シールの材質は、耐久性に大きな影響を与えるでしょう。例えば、腐食性ガス雰囲気で使用する場合、耐腐食性のある材質を選ぶ必要があります。材質の選定を誤ると、シールが破損する可能性があります。
使用環境も耐久性に影響を与えるでしょう。例えば、高回転の環境では回転振動の影響でベアリングの寿命が短くなります。また、外部磁場の影響を受ける環境では、磁気シールの性能が低下する可能性があります。
磁気シールの耐久性を維持するためには、定期的なメンテナンスが重要です。メンテナンスには、磁性流体の交換やシール材の点検などが含まれます。定期的なメンテナンスを行うことで、磁気シールの寿命を延ばし、安定した性能を維持できます。
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